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旧長崎刑務所の現状

ファイル 2834-1.jpgファイル 2834-2.jpgファイル 2834-3.jpg

3年ぶりに、諫早の旧長崎刑務所を訪ねました。

2007年の夏に、旧長崎刑務所は正門と管理棟の一部だけを残して、慌ただしく解体が進められました。当時、全面保存は無理でも正門くらいは残さなくてはならないと思い保存運動を行なっておりましたが、管理棟の一部も残してくれたと聞いて喜んでいました。しかしながら、ネットで検索して探し出した解体後の写真を見て、その何とも無残な姿に愕然としておりました。

ようやく今回、解体後の旧長崎刑務所へ行く機会を得、敷地はどのような開発が進んでいるのかと思っておりましたら、現地は広々とした土色の更地が広がるばかり。煉瓦造の旧長崎刑務所の正門と高い塀の一部、そして管理棟の中央の塔屋部分がポツンと残されておりました。あの2007年の夏に、なぜ解体を急いだのか。結果論ですが、その後の経済状況の変化を考えると、あの夏さえ持ちこたえていれば旧長崎刑務所の建物群は今もまだ残っていたかも知れません。更地のまま、こうして今も開発計画が頓挫したままとなっているのですから。

今は、この解体を免れた旧長崎刑務所の正門と管理棟の塔屋を、どうすれば良いかを考えなければなりません。ただのモニュメントとして保存するのではなく、地域の誇るべき歴史的文化財として活かしてほしいと願うばかりです。よもや、再度の解体など無いように。まずは、文化財指定を進めるべきでしょう。

旧長崎刑務所の近況など

ファイル 1716-1.jpg

先月、開発業者側から諫早市に、旧長崎刑務所の一部保存に向けての条件が提示され、今月中には書面で確認される方向という新聞記事が出ました。

その後の続報はまだありませんが、ネットで検索していたら、旧長崎刑務所の最新の状況についての写真がアップされていました。

きらとま無宿・国内自転車放浪編
http://d.hatena.ne.jp/killertomato/20071215/p1

広い煉瓦基礎の残る敷地に、旧長崎刑務所の管理棟がポツンと建っています。中央部分だけでなく、両袖部分も残っているではありませんか!!

このまま旧長崎刑務所の管理棟と正門の保存が実現すれば、必ず地域にとっても有益な施設となるはずです。多くの人々のアイデアをいれて、有効な使い道を導かなければなりません。

なお、先月11月19日の朝日新聞東京版に、法政大学工学部建築学科准教授の高村雅彦先生がコラムを書いています。その中に、旧長崎刑務所のことについて、ちょっとだけ触れています。

【高村雅彦准教授のキャンパスブログ】
連戦連敗
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000150711190001

論旨は全く同感なのですが、旧長崎刑務所をテーマにしたゼミ生I君の苦境の話は、どうでしょう。建物の保存は、当然に、学者や研究者のためでは無いし、卒業がかかっていようが「関係無い」話です。逆に、この旧長崎刑務所の保存に向けて、いったいI君は何をしたろうかと問いたい。研究者としての立場は、各方面のいろいろなしがらみなどもあろうし、動きにくいことは十分理解できます。しかし、関わった以上は、たとえ無力であっても、自身にできる範囲で、自身が考えうる限りの行動を起こさなければ、ただ無力を嘆いていてもはじまりません。

高村ゼミのI君、もしこのブログを目にすることがあったら、ぜひ反論を下さい。きっとmixi上では何かをしたのだろうけれど、mixi上では仲間内にしか話題が広まりません。公開された場で、旧長崎刑務所に対するI君の思いを聴かせて下さい。

旧長崎刑務所の保存が現実味を帯びてきました

ファイル 1653-1.jpg

しばらく沙汰止みとなっていた旧長崎刑務所の保存問題ですが、昨日の長崎新聞や今日の西日本新聞長崎版などに続報が出ていました。

旧長崎刑務所を一部保存へ 三角屋根の管理棟など
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20071119/02.shtml

旧長崎刑務所の所有会社 一部保存を検討 用途変更次第で再考も
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/nagasaki/20071120/20071120_002.shtml

旧長崎刑務所一部保存へ
http://cgi.ncctv.co.jp/news/index.php

旧長崎刑務所 一部保存へ検討
http://www.ktn.co.jp/news/d071119.html

これらの記事によれば、保存が検討されているのは、正門と正門から左右に広がる壁の一部(高さ約6.6メートル、幅約20メートル)、管理棟のエントランス部分(玄関と三角屋根の2階建ての部分、高さ約14メートル、幅約4.5メートル)。さらに、別の建物地下から見つかったアーチ形煉瓦造の基礎の一部も復元保存を検討とのこと。

全面保存を目指していた方々には大いに不満でしょうが、現実問題としてはこの保存内容で「御の字」ではないでしょうか。旧長崎刑務所が、全く何も残らず消し去られることに対して保存を訴えてきたのですから。

開発会社側は、「用途変更」で条件交渉に入っています。これは、小生が以前書いた通りです。諫早市側が持っている権限である「用途変更」と引換えに、旧長崎刑務所の一部保存、およびその土地と建物の市への寄付を検討しているのです。

諫早市側は、ぜひ、この交換に応じるべきだと小生は考えます。開発会社側にも、諫早市側にも、双方にとってメリットがあるからです。地域住民にとっても、近隣の商店主にとっても、跡地の大型商業施設進出は悪い話ではないと思います。

確かに、周辺の交通渋滞や、客の流れが変わってしまうことに対しての懸念はあります。それらの問題の解消のためには、旧長崎刑務所の跡地にできる駐車場をショッピングセンターのためだけのものとせず、周辺の商店街や観光スポットへ歩いて行くための基地として位置付け、徒歩で周遊する地域として周辺を整備するなど、新しい取り組みが必要です。

旧長崎刑務所の赤レンガを起点に、諫早公園の眼鏡橋(重文)や、昭和6年築の旧諫早銀行本店(十八銀行諫早支店)などをまわるためのガイドマップを用意し、途中のお店の紹介なども載せれば……、とアイデアがふくらみます。旧長崎刑務所のことについて学習できる常設展示も欲しいですね。

あまりお金をかけなくても、できることは沢山あります。今回の旧長崎刑務所の保存を契機として、諫早のまちの活性化のために、知恵を出し合って皆で話し合いましょう。

旧長崎刑務所のその後

ファイル 1581-1.jpg

現在、解体工事の進んでいる「旧長崎刑務所」ですが、少し動きがあったようです。

毎日新聞(長崎版)の報道によれば、開発会社側から「商業施設内に管理棟は残せない。正門なら観光客誘致のためにも、残せる余地はある」との話が出ているようです。管理棟は、11月末に解体の予定。旧長崎刑務所の現所有者である株式会社ユニディオコーポレーションさん、株式会社新日本建物さん、保存に向けてのご検討いただき、感謝いたします。ぜひとも、正門保存の検討を進めていただきたいと思います。
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20071001ddlk42040310000c.html

個人的には、まあ、このあたりが妥当な落としどころかなとは思いますが、管理棟もうまく活用すれば、観光的にも商業的にも有効な資源となるのにと、非常に残念に思います。採算的にも、十分成り立つと思うのですが。

9月30日には、旧長崎刑務所のすでに解体された建物に使用されていた「赤れんが」の、市民への引き渡し会もあったようです。諫早レインボーシティー推進会の主催で、1個10円で販売したとのこと。
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/20070929ddlk42040525000c.html
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20071001/11.shtml

また、9月末に、旧長崎刑務所の現役時代を写した写真展が行なわれたとのことです。撮影者は、長崎大学名誉教授の井口次夫氏。現役の刑務所内の写真は、本当に珍しく貴重です。撮影交渉に2年を要したとのことですが、長崎大学の先生という肩書も効いたのではないかと思います。そういう写真を、私蔵せず公開してくださったことに、感謝したいと思います。
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20070927/10.shtml

今後、旧長崎刑務所をめぐってどのような動きがあるか、引き続き注目していきたいと思います。

旧長崎刑務所の保存要望書が掲載されました

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先にお知らせいたしました、社団法人日本建築学会九州支部が、株式会社ユニディオコーポレーションおよび株式会社新日本建物宛に出した旧長崎刑務所の保存要望書が、HPに掲載されました。

社団法人日本建築学会
http://news-sv.aij.or.jp/scr/request/teigen.asp
社団法人日本建築学会九州支部
http://wwwsoc.nii.ac.jp/kbaij/hozonyobo/hozonyobo.html

いくら保存要望書を出しても、全ての建物が保存されるわけではなく、逆にあっさりと解体されてしまう建物のほうが多いのが現実です。しかし、何もしないままよりは、建物の所有者がその建物について考える機会となるのではないでしょうか。所有者自身が考えるところからスタートしなければ、保存も何も始まらないのです。たとえ、その建物の所有者が、官であれ民であれ。

小生の感触では、かつては民間所有の建物のほうが壊されてしまう確率が高かったと思うのですが、今は国や地方自治体所有の建物のほうが簡単に壊されてしまう傾向にあるようです。所有者の組織の中に、この建物は壊してはならない、残さねばならない、という志を持つ人物があらわれにくい世の中になっているのでしょうね。悲しいことです。

「お金が無い」という一点だけが、いつも、全ての建物の解体理由となってしまいます。しかし、「お金が無い」ということは、保存に向けての費用が出せないということであって、解体せざるを得ないという理由には、論理的にはならないはずです。「お金が無い」と、「解体せざるを得ない」との間には、何か他の理由がなければ、理屈が通りません。もっと「お金が無い」以外の、何か建設的・積極的な理由で議論をしたいものです。そうすれば、何とか建物を残しながら所有者にとってもメリットのある妙案を探すことができると思うのです。「お金は無い」けれども。

続報の無いまま時間が過ぎて行きますが、旧長崎刑務所解体の進行具合が危惧されます。

旧長崎刑務所の保存要望書を手渡してきました

台風の通り過ぎた9月7日、日本建築学会九州支部よりお預かりした旧長崎刑務所の保存要望書を、現所有者に手渡してきました。

現在、旧長崎刑務所は、東京に本社のある株式会社ユニディオコーポレーションと株式会社新日本建物の2社が所有しています。

ファイル 1512-1.jpg
株式会社ユニディオコーポレーション
http://www.unidio-corp.co.jp/

ファイル 1512-2.jpg
株式会社新日本建物
http://www.kksnt.co.jp/

近々、日本建築学会九州支部のHPに保存要望書の文面が公開されるかと思います。これでようやく、旧長崎刑務所が学術的にも保存すべき物件であると、公的に示されたということになるでしょう。すでに解体が始まっていますが、旧長崎刑務所の価値を所有者の方々にご理解いただき、保存・活用について検討いただければありがたいと思います。

社団法人日本建築学会九州支部
http://wwwsoc.nii.ac.jp/kbaij/

小生、今回初めて保存要望書を手渡す役を引き受けたのですが、過去の事例を調べてみると、保存要望書の受取りを拒否するような例もあるようなので、受け取ってもらえるかどうかを心配しておりました。無事、受け取っていただけましたので、ひとまず大役を果たすことができました。

あとは、どのような反応があるか、です。良い結果を、期待したいと思います。

旧長崎刑務所の活用方法を考える

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すでに解体も始まった旧長崎刑務所ではありますが、仮に保存が実現したとして、どのような活用方法があるかを、思いつくまま、独断で勝手に書いてみました。採算や費用度外視で、とにかくプランの種類や数を多く出すことが目的です。実現性のないムダなことだなどと考えずに、皆さんの考えもお寄せください。

●ホテルなどの宿泊施設。房舎も、当然改修して宿泊施設として利用する。倉敷アイビースクエアのイメージ。
・倉敷アイビースクエア
http://www.ivysquare.co.jp/

●刑務所博物館。旧長崎監獄を体感する体験型施設。修学旅行生や、団体観光バスによる集客を期待。博物館網走監獄のイメージ。
・博物館網走監獄
http://www.kangoku.jp/

●レストランなどの飲食店。庁舎だけ保存の場合にも有効。事例は多いが、例えば東京の小笠原伯爵邸などのイメージ。
・小笠原伯爵邸
http://www.ogasawaratei.com/html/index.html

●地域の集会所・公民館など公共施設。庁舎だけ保存の場合、公民館を新築する予算を改修・改装費用に充てれば、充分実現可能と思われる。一部は展示コーナーとして、旧長崎刑務所についての展示解説を行なう。

●たてもの園。庁舎を管理棟とし、長崎歴史文化博物館の分館として、長崎県内で解体せざるを得なくなった歴史的な建物を移築保存し野外展示を行なう施設とする。犬山の博物館明治村や、東京の江戸東京たてもの園のイメージ。
・博物館明治村
http://www.meijimura.com/index.html
・江戸東京たてもの園
http://tatemonoen.jp/

●結婚式場。歴史的な建物を結婚式場にする例は多いが、さすがにこれはムリだと思う(笑)。

●温泉施設。庁舎を利用し、スーパー銭湯的な入浴施設にする。イメージが貧弱(泣)。

●ショッピングセンターの管理棟。敷地をショッピングセンターとする場合、庁舎を管理棟として保存・活用する。

●シナリオ図書館。庁舎を利用し、諫早出身の市川森一氏の作品をはじめとする、テレビドラマや映画などのシナリオ(台本)全て収集する図書館とする。

●九州赤煉瓦博物館。九州地区の赤煉瓦建造物の資料展示を行なう。舞鶴の赤れんが博物館のイメージ。
・舞鶴市立赤れんが博物館
http://www.maizuru-bunkajigyoudan.or.jp/akarenga/index.htm

旧長崎刑務所保存をめぐる3つの主張に答える

ファイル 1503-1.jpg

8月31日、諫早で開催された「旧長崎刑務所の保存と活用を考える市民フォーラム」ですが、当夜、出席された長崎総合科学大学の山田由香里さんからお電話をいただき、会議の様子などをうかがいました。また、「旧長崎刑務所の保存と活用を考える会」の栄田元信さんから、メールで状況のご報告をいただきました。長崎県建築士会長崎支部青年部のブログや、長崎新聞、西日本新聞などでも報道されております。

「市民フォーラム」((社)長崎県建築士会 長崎支部青年部のブログ、9月1日付)
http://blog.goo.ne.jp/nagasaki-seinenbu/e/1d23657a658badda0f9bbbfc5be4b48c

「高評価、一方で否定的声も 旧長崎刑務所でフォーラム」(長崎新聞、9月2日付)
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20070902/04.shtml

「「署名行動で勢いを」「解体の現実を直視」 旧長崎刑務所の保存策探る 諫早でフォーラム」(西日本新聞、9月2日付)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/local/nagasaki/20070902/20070902_002.shtml

お話をうかがった内容や報道などを見ると、市民の間でかなり意見が割れてしまっているようです。これまでにも、近隣住民の意見は報道されていましたが、旧長崎刑務所を保存するということについての反発は報道以上のものがあるようです。近隣の地主など、直接、利害や利権の絡む問題ですので、これは止むを得ないことでしょう。

また、当ブログへのコメントとして、市民の方々からいくつか書き込みがありました。武田洋子さん、ムーミンさん、山口さん、コメントありがとうございます。それらの意見をまとめると、主張は次の3点になるかと思われます。

まず、財源の問題です。ここでも、保存するには10億円もかかるというステレオタイプの金額が提示されています。今のご時世、お金が無いのは当然ですので、お金が無いならば無いなりの保存の方法があります。また、その負担を市民に負わされるのではたまらないという意見はもっともなことで、旧長崎刑務所のような貴重な文化財級の物件の保存は、国民の財産として国全体で負担すべきでしょう。これは私見ですが、文化財の保存は、将来の子孫に残すということですから、未来への負債でも良いのではないかと考えています。後世、よくぞ残してくれたと喜ばれるか、なぜ解体してしまったと恨まれるか、ということです。

次に、なぜ今ごろ保存を言い出すのかという時期の問題です。これは、現在保存を主張している人々が、反省しなければなりません。小生も、なぜもっと早く保存を訴えなかったのかと思っています。小生の場合、2005年に出た書籍『九州遺産』に掲載されていた写真でこの旧長崎刑務所を知り、2006年の春に初めて現地で旧長崎刑務所を見、なんとか保存できないものかという思いをつのらせておりました。所有者が国であり、何らかの保存措置はするだろうという淡い期待もしておりました。今年の春、報道で民間業者への売却を知るに及び、このままでは解体されてしまうとの危機感から、ようやく行動を開始したのでした。正直なところ、旧長崎刑務所のことを知るのが遅すぎたというのは事実です。もっと早くに、この旧長崎刑務所のことを知っていればと思います。ただ、解体に着手したいまさらでは遅すぎるということは決して無く、どんな時点であれ保存が主張されたということは、まだ可能性を残しているということです。小生のように、多くの人々が旧長崎刑務所のことをまだ知りません。それらの人々に、この旧長崎刑務所の存在を知ってもらい、残すか解体するかの価値判断をしてもらわなければならないと考えています。ごく一部の役人の判断だけで、国民の貴重な財産を喪失してしまっては、後世に取り返しのつかないことになってしまいます。たとえ、多くの市民が解体を望もうとも、保存すべき価値のあるものは、利害関係抜きに判断し、保存措置が図られなければならないと考えます。

最後に、保存を主張するのは市外の人々だけで市民は解体を望んでいるという、これまでも多くの保存運動で見られた地元が解体を望むという構図の問題です。文化財級の貴重な財産である旧長崎刑務所は、近隣住民や行政地域内の市民のものではなく、広く国民のものであるということを理解すれば、この主張はあきらかに誤りであると納得してもらえると思います。さらに、先にも述べたように、貴重な財産である旧長崎刑務所は、現在生きている者だけの財産ではなく、将来の子孫の財産でもあるということを考慮しなければなりません。小生は、これまでにもこの構図を、空間軸と時間軸の問題として、もっと視野を広げて考える必要性を主張してきました。解体してしまうということは、両軸を断ち切ってしまうということなのです。

以上、市民フォーラムを受けての、小生の感想と回答でした。

なお、この市民フォーラム前後にも、旧長崎刑務所のことが盛んに報道されています。多くの人々に、旧長崎刑務所のことを知ってもらうことが、今いちばん大切なことなのだと思います。

「貴重な西欧風れんが造りを発見 旧長崎刑務所解体現場」(長崎新聞、9月1日付)
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20070901/01.shtml

「山下啓次郎と旧長崎刑務所展 市立諫早図書館で始まる」(長崎新聞、8月28日付)
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji2/2007082802.shtml

「旧長崎刑務所正門など保存訴え 諫早市に「考える会」要望書…旧長崎刑務所」(読売新聞、9月4日付)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagasaki/news004.htm

近く、社団法人日本建築学会九州支部より、保存要望書の提出が決まったとのことです。旧長崎刑務所が、学術的にも貴重な物件であるということが、裏付けされました。

九州遺産―近現代遺産編101
九州遺産―近現代遺産編101

旧長崎刑務所を残すカギは「用途変更」

ファイル 1499-1.jpg

西日本新聞8月26日の用語解説「ワードBOX」に、旧長崎刑務所が取り上げられています。

「視点’07ながさき=旧長崎刑務所、年内解体へ 見えぬ跡地の将来像 諫早市 「保存」「開発」ともに課題」
http://www.nishinippon.co.jp/news/wordbox/display/5104/

これを読むと、旧長崎刑務所は近隣住民のとっては「迷惑施設」でしかないようです。シロアリ被害、ぼや騒ぎ、痴漢出没などなど。しかし、これらの問題は、記事にもある通り、旧長崎刑務所そのものに起因する問題ではなく、旧長崎刑務所を15年間も放置し続けてきたことによる管理上の問題です。

地元が保存に反対するという構図は、全国各地で見られます。以前書きましたが、小樽運河保存の際も、地元は運河埋立賛成でした。妥協・折衷案でしたが、何はともあれ小樽運河が残され、今日の観光化した小樽があります。運河を残すことで、その後どのような展開があるかの想像図を描ききれずに、地元は反対したということなのでしょう。

旧長崎刑務所も、残すことで将来どのような展開がありうるかを、具体的に示す必要がありそうです。昨今、旧長崎刑務所のような歴史的価値のある物件は、観光資源としても有望なのです。

西日本新聞の記事によれば、旧長崎刑務所の今後のカギは「用途変更」のようです。確かに、刑務所の用途地域って、何だったのでしょう。刑務所機能移転後の用途地域の指定も、何だったのか興味があります。県や市は、この「用途変更」の権限で、旧長崎刑務所の保存を取引することができそうですネ。

今後の展開が何も決まっていないにもかかわらず、ただ解体だけが押し進められている現状は、本当に許しがたいです。壊してしまっては、取り返しがつかないのですから。

8月31日の市民フォーラムを期待しています。皆で知恵を出し合って、残した後の旧長崎刑務所の活気ある姿を思い描きましょう。

旧長崎刑務所の解体始まる

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諫早の旧長崎刑務所ですが、去る8月18日より、とうとう解体工事が始まったとのことです。長崎放送の解体現場の動画は、見ているのが辛いです。

「“明治の刑務所” 取り壊し」(長崎放送(動画あり))
http://www2.nbc-nagasaki.co.jp/houdou/index.php?itemid=3379

「旧長崎刑務所の解体工事はじまる」(テレビ長崎)
http://www.ktn.co.jp/news/d070818.html#0002

「旧長崎刑務所の解体進む」(長崎文化放送)
http://cgi.ncctv.co.jp/news/news.php?month=M0708&day=19

先にお知らせした、「旧長崎刑務所の保存活用を考える会」主催の8月31日のイベントですが、地元新聞でも取り上げられました。ご都合のつく方は、ぜひお出でください。

「旧長崎刑務所の保存を 市民グループを結成」(長崎新聞)
http://www.nagasaki-np.co.jp/kiji/20070824/05.shtml

旧長崎刑務所解体問題が、なぜ全国紙で取り上げられないのか、不思議でなりません。

旧長崎刑務所の保存と活用を考える市民フォーラム

ファイル 1444-1.jpg

諫早にある旧長崎刑務所の、保存・活用を考えるイベントが開催されます。主催は「旧長崎刑務所の保存と活用を考える会」。連絡先は、長崎県建築士会諫早支部(地建設計内)の栄田元信氏 (TEL:0957-24-0416、E-mail:motonobu@festa.ocn.ne.jp)。

以下、九州産業考古学会のHPよりの転載です。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

旧長崎刑務所の保存と活用を考える市民フォーラム
基調講演:高村雅彦准教授(法政大工学部)
パネルディスカッション:池田武邦氏(日本設計元社長)ほか
日時:平成19年8月31日(金)19:00~
会場:諫早市高城会館(長崎県諫早市高城町5-25)

これに併せて諫早図書館では8月28日~9月1日まで「山下啓次郎と旧長崎刑務所展」を開催しています。どうぞ足をお運びください。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

シンポジウムの開催日が、月末で週末の平日(!!)という、勤め人には一番難しい日程ですが、何とか駆けつけることができないかと思案中です。

(社)日本建築学会の全国大会が、この日まで福岡大学で開催されていますので、その後に挙って諫早にお出でいただければ良いですね。博多から特急で1時間半程度の距離ですので。

「旧長崎刑務所」保存要望書

ファイル 1404-1.jpg

諫早の旧長崎刑務所ですが、とうとう「解体工事のお知らせ」が表示されたとのこと。

お水の花道ブログ
http://myhome.cururu.jp/shinnosuke0113/blog/article/41001341518

九州ヘリテージ
http://blog.kyushu-heritage.jp/?eid=488985

写真から読み取ると、施行者(解体業者)は株式会社中嶋組、発注者は株式会社ユニディオコーポレーションと株式会社新日本建設。

しかし、それぞれの業者さんに言ったところで、仕事を請け負っているだけでしょうから、その大元の発注者(すなわち入札落札者)を探して保存のお願いをするしかありません。いったい落札者は、どこの業者さんなのでしょう?? ちなみに、中嶋組は長崎市、ユニディオコーポレーションは福岡市、そして新日本建設は千葉市の会社です。

実は、居ても立っても居られずに、今月中旬に建築関係の諸団体に対し、下記の「旧長崎刑務所」保存要望書の要望をメールにて発信いたしました。半月ほど経過した現在までのところ、どの団体も何の動きも見受けられませんが……。緊急アピールでも、ホームページ上などに載せて欲しいものです。何とか、一部でも残して欲しい。旧長崎刑務所は、重要文化財級の物件ですから。

チアキさん、ゴン太さん、情報をありがとうございます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

社団法人日本建築学会九州支部 殿
社団法人長崎県建築士会 殿
社団法人長崎県建築士会長崎支部 殿
社団法人日本建築士会連合会 殿
社団法人日本建築家協会 殿
社団法人日本建築家協会九州支部 殿
社団法人日本建築家協会九州支部長崎会事務局 殿


日本建築学会「歴史的建築リスト整備活用小委員会」で委員をしております前村と申します。

さて、報道などでもご承知の通り、先月、長崎県諫早市の「旧長崎刑務所」が民間の不動産業者に売却され、解体間近となっております。

長崎刑務所の移転後、10年あまり空家のまま放置されたことで、廃墟のような状況ではありますが、山下啓次郎設計の「旧長崎刑務所」の価値は、決して減じるようなことはありません。

これまで世間では、「旧長崎刑務所」についての正当な価値評価が行なわれていないように見受けられます。ぜひとも貴会から保存要望書を出していただき、「旧長崎刑務所」の評価を示し、何らかの形で保存されるようご尽力くださいますようお願い申し上げます。

いつ解体が開始されても不思議ではない今、貴会としても早急に対処し、広く市民に向けて保存の呼びかけを行なうべきではないかと思われます。

微力ではありますが、小生もインターネット上で、ネットワークを通じて「旧長崎刑務所」の存在と価値を広報しております。世間に「旧長崎刑務所」の価値が認知されることが、まず第一と考えております。

来月、九州で建築学会の大会が開催されます。ぜひともこの「旧長崎刑務所」の保存が大きな話題となりますよう、何とぞご協力をお願い申し上げます。

なお、建築学会、建築士会、建築家協会等に対しても、保存要望書を出すよう働きかけを行なっております。

不動産を所有するということ

ファイル 1334-1.jpe

旧長崎刑務所が今どうなっているのか、その後の情報が出てこない!! まだ、手がかけられていないことを祈っています。長崎新聞さん、旧長崎刑務所は今、どうなっていますか?

旧長崎刑務所は、すでに民間の不動産会社に売却されてしまっているということですので、あとはその業者さんの意向次第ということかも知れませんが、まだ諦めてはいけません。

旧長崎刑務所を購入したのは、東京の不動産会社だという話も聞こえてきます。ぜひ業者さんには、諫早のこの現地を見てほしいと思います。遠く離れた土地での机上の計画だけではなく、実際の現地を見、歩き、感じてほしい。そうすれば、きっとこの旧長崎刑務所の価値や意義を実感するに違いありません。そうすれば、この建物や空間を活かした計画をせざるを得なくなるはずです。業者さんには、この旧長崎刑務所という素材に対して、どのような活かし方をするかの手腕が問われることでしょう。

不動産を所有するということは、自身の財産として何でも自由にできる、ということでは決してありません。さまざまな法規制もありますが、それをクリアさえすれば良いというだけでもありません。

不動産を所有するということは、時間軸と空間軸という両座標軸上での責任を負うということを理解しなければなりません。時間軸とは、過去から未来へという、歴史的価値を伝えること。空間軸とは、近隣や地域の中でのその物件の意味、さらに、もっと広く地球規模の空間の中での意味までをも考えなければなりません。これは、この旧長崎刑務所のような歴史的建造物だけでなく、どんな小さな住宅でも、マンションでも同じです。不動産を所有するということは、そういった重い責任を負うことなのだということを、誰もが理解し、意識する必要があります。

旧長崎刑務所は、重要文化財級の非常に価値の高い建物ですが、たとえ文化財に指定されていなくても、価値があるということに揺らぎはありません。ものの価値はレッテルではなく、そのもの自体に価値があるのです。

なお、旧長崎刑務所のことを載せているブログの多くには、価値は認めるが、ここまで老朽化してしまっては解体も止むを得ないという記述が少なくありません。しかしながら、たとえどれほど老朽化しても、解体の理由にはなり得ないのです。全国の残る文化財指定の近代建築の多くは、どれも老朽化し、一時は廃墟のようになっていたのです。人々がその価値を見出し、保存をするという意志さえあれば、保存できるのです。要は、その物件の価値を見出すかどうかに掛かっています。

また、旧長崎刑務所を保存するには数十億円もかかるのでは、解体も止むを得ないという記述も見られます。不思議と、なぜか他の建物でも解体する理由として、保存するには数億、数十億円かかるという金額が示されます。こんなにかかるのでは止むを得ない、という口実を与えるための金額なのではないかとさえ疑われます。建物全体を一気に修復・保存するとすれば、それなりの金額がかかるでしょうが、予算が無ければ無いなりの修復・保存の方法があるはずなのです。要は、その物件を残したいという意志次第なのです。お金が無いから残せなかったとは、何とも恥ずかしい話ではありませんか。

旧長崎刑務所を取得された東京の不動産屋さん。この旧長崎刑務所が、後世に誇るべき良い形で残されることを期待しています。

旧長崎刑務所の価値を否定したのは誰か

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旧長崎刑務所が、まだ残っていると信じて!!

旧長崎刑務所で検索していたら、「うさたろう日記 はてな版。」に興味深い資料がリンクされていました。平成18年10月10日付の「第55回国有財産九州地方審議会議事録」というもので、この中に、この旧長崎刑務所の民間不動産業者への売却にあたって、一部でも保存できないものかという審議会委員で九州大学名誉教授の樗木武氏の質問に対し、北村管財部長が説明をしています。

「(前略)それから、今、委員のほうから赤レンガ等の旧刑務所庁舎につきましての、文化財としての価値ということでございますが、この建物を文化財として保存するかどうかにつきましては、地元であります長崎県、諫早市が文化財保護法でありますとか、長崎県の文化財保護条例に基づきまして、保存を要するかどうかということを判断されることになっております。本件につきましては、私どもが長崎県、諫早市に確認した結果、いずれも保存することには該当せず、国が売却しても構わないという旨の回答を得た上で、一般競争入札を実施したところでございます。」

北村管財部長の説明では、旧長崎刑務所の保存価値について判断するのは県や市であると言っています。しかし、まずは所有者である国が判断すべきなのではないでしょうか。財務省では価値判断ができないということであれば、文化庁なり、あるいは建築学会なり建築士会なり、価値判断のできるところに聞くのが筋でしょう。この説明では、長崎県、諫早市が、旧長崎刑務所には価値がないと言ったから、保存する必要はないのだと言っています。しかし、本当に県や市は、旧長崎刑務所に価値はないと言ったのか。価値がないと言ったのではなく、保存するお金がないと言ったのではないでしょうか?

国の所有する旧長崎刑務所に対して、県や市が「保存する価値がある」と言うことは、すなわち引き取るということになるのではないか。財政的に厳しい県や市には、そのようなことを言い出すわけにはいかないだろうことは、想像できます。旧長崎刑務所には価値がないと言った当事者は、県や市であるとされていますが、これはすり替えではないか。純粋な価値判断と財政的な判断とは、全く切り離して行わなくては、判断を誤ります。

そもそも、県や市に聞く前に、所有者である国自身が旧長崎刑務所の価値判断をすべきでしょう。北村管財部長の説明では、そのことを、全く無視しています。

長崎県の担当者、諫早市の担当者の方々。旧長崎刑務所に保存の価値なしという誤った判断をしたのは、本当にあなたたちで良いのですか? 所有者としての、国の判断はどうなのですか?

かくして、正当に価値判断をされることなく、国(財務省)によって、旧長崎刑務所は売却され、今や解体寸前となっているのです。国民の、いや人類の、貴重な遺産である旧長崎刑務所が、真っ当な価値判断もされずに売り飛ばされてしまったのです。このことを、ずっと明記しておきたいと思います。

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