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旧長崎刑務所の設計者

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引き続き、旧長崎刑務所です。何としても残したい一心です!!

さて、この旧長崎刑務所の設計者ですが、山下啓次郎(やましたけいじろう)です。ジャズピアニストである山下洋輔の祖父としても有名です。

山下啓次郎は、1867年(慶応3年)鹿児島県生まれ。帝国大学工科大学(現在の東京大学工学部)で辰野金吾に建築を学び、卒業後、警視庁、後に司法省営繕課で技師として、明治の五大監獄と呼ばれる千葉、金沢、鹿児島、奈良、長崎の刑務所や、名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所などの設計を担当します。1931年(昭和6年)没。

千葉刑務所
千葉刑務所(明治40年築)は、煉瓦造の管理棟や正門などが現役で使われています。

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金沢刑務所(明治40年築)は、昭和45年の移転にともない解体されましたが、中央看守所と監房の一部、そして正門が明治村に移築され、いずれも国登録有形文化財です。

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鹿児島刑務所(明治41年築)は、昭和61年の移転にともない解体されましたが、保存運動の結果、石造の正門のみが現地に保存されています。国登録有形文化財です。

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奈良刑務所(明治41年築)は、現在も奈良少年刑務所として、煉瓦造の本館や正門などが現役で使われています。

長崎刑務所
長崎刑務所(明治41年築)は、平成4年に移転にともない閉鎖され、そのままの形で保存(放置?)され、現在に至ります。今年(平成19年)の6月中に解体予定の計画が発表されています。

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名古屋控訴院・地方裁判所・区裁判所(大正11年築)は、現在、国の重要文化財に指定され、名古屋市市政資料館として活用されています。

旧長崎刑務所は、施設がそのまま残されており、史料としても貴重です。修復・補修して文化財に指定し、何らかの形で現地に保存するべき価値の高い建物群です。

【追記】
山下啓次郎と同じ1867年(慶応3年)生まれには、建築家伊東忠太(帝国大学工科大学も同期)や、文豪夏目漱石、ジャーナリスト宮武外骨、博物学者南方熊楠、そして、海外では建築家フランク・ロイド・ライトなどがいます。

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