日本温泉資料館




 「温泉は高い」と、独断ながら申し上げたい。

 関係者の方々には申し訳ないが、やはり、一介の月収取りにとっては、温泉は高すぎる。

 温泉は、天の恵みである。
 昨今では、ボーリングをしたり、濾過・循環をしたり、加熱をしたりと、何かとお金がかかっているということは、承知している。

 しかし、と思う。
 小生は、ただ温泉に入りたいのである。
 豪華な料理や、贅沢な部屋、銘石の露天風呂が目的なのではない。
 ただ、ただ、温泉に入らせてもらいたいのである。
 この「日本温泉資料館」では、1,000円以内で入浴できる温泉をご紹介したい。
 勿論、全て小生が入浴した温泉である。

 あわせて、もう一言いわせていただきたい。
 昨今流行りの「クワハウス」のことである。
 ああいう温泉もあってもいい。
 しかし、どこもかしこも「クワハウス」では困る。
 「健康ランド」も、勘弁願いたい。
 入浴者が閑散とした「クワハウス」と、超満員の「健康ランド」の、この差は何なのか。

 小生は、温泉にけっこううるさいのである。




温泉の泉質について

 昭和54年に温泉法が改定され、新しい分類(9種類)が決まったが、普及がいま一つで各地の温泉地では旧泉質表示(11種類)の方がまだまだ一般的である。ここでは、旧分類について説明する。

(1)単純泉
 含有されている成分がうすい温泉。常に34度C以上の泉温で、固形成分および遊離炭酸の含有量が水1kg中1,000mgに満たぬもの。体に対する刺激が少なく緩和性があって利用範囲が広い。無色、無味、無臭のものが多く、入り心地がよい。主たる効能は、リウマチ、脳卒中や外傷の回復期。高年向きの温泉である。

(2)食塩泉
 ナトリウム塩化物泉といい、海水成分によく似ている。日本には多い温泉であり、なめるとしょっぱい。入浴すると皮膚に塩分が付着して保温効果があり、よく温まる温泉。病後の回復、打ち身、婦人病によく、飲用すると胃腸病に効く。

(3)重曹泉
 ナトリウム炭酸水素泉といい、重曹が主体。また含食塩、含芒硝と種々の塩類を含む。皮膚を軟化させ、脂肪や分泌物を乳化させるため、皮膚が滑らかになるので、美人の湯といわれるのはこの泉質である。切り傷、火傷にもよい。また、飲用すれば胃酸を中和し胆汁の分泌を促す。無色透明で石鹸もよく溶ける。

(4)炭酸泉
 正式には単純二酸化水素泉。炭酸ガスが溶け込んでいる温泉で、冷泉が多い。この温泉は末期火山の地殻深いところから湧くので、活火山の多い日本には少ない。炭酸ガスが泡になって体につくので泡の湯と呼ばれるものがこれである。温度は低くても湯上がりに温まるのが特徴。胃腸や便秘にはよく効く。

(5)硫酸塩泉
 芒硝泉はナトリウム、石膏泉はカルシウム、正苦味泉はマグネシウムを含む硫酸塩泉である。芒硝泉の飲用は便秘や肥満症によく、石膏泉もほぼ同じ。「脳卒中の湯」といわれるもののほとんどは正苦味泉で、血圧降下や、動脈硬化の予防に効果がある。

(6)鉄泉
 炭酸鉄泉と緑礬泉。源泉は透明だが、空気にふれると錆色になる。貧血、更年期障害、リウマチによく効く、温まる湯である。

(7)硫黄泉
 硫化水素泉。温泉らしい温泉の代表。卵の腐ったような匂いがし、金属などは黒くなる。心臓動脈を拡張、気管支拡張症、動脈硬化によく、慢性の関節炎、皮膚疾患にもよい。よく温まる温泉である。

(8)重炭酸土類泉
 正式にはカルシウム・マグネシウム炭酸水素泉。これらの土類イオンには鎮静作用があって、痙攣を緩めたり炎症を抑える働きがある。効能はアレルギー疾患、皮膚病など。飲用で痛風、結石、糖尿病によい。

(9)明礬泉
 アルミニウム硫酸塩泉。火山活動の多いところに湧くので、日本では多い温泉である。皮膚や粘膜の収斂に効果があり、慢性皮膚病に効く。

(10)酸性泉
 硫化水素、緑礬、明礬を含んでいて、抗菌力が強いので水虫、トリコモナス膣炎などに特効がある。刺激の強い湯で、湯ただれを起こすこともあり、皮膚の弱い人には適さない。

(11)放射能泉
 俗にラジウム泉と呼ばれるが、主体はラドンである。ラドンは気体で、吸入が最も適するが、飲用もよい。痛風、糖尿病、自律神経系によく効く。



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